
キウイの歴史|中国生まれの実が世界へ渡るまで
こんにちは、ときわオンラインのヨシハマです。
キウイって、どこの果物だと思いますか?
たぶん、多くの方がニュージーランドと答えると思います。
名前も、あの国の鳥「キーウィ」から来ていますしね。
でも――
キウイの故郷は、中国です。
しかも、ニュージーランドに渡ったのはたった120年ほど前。
果物としては、びっくりするほど新しいんですね。
みかんやぶどうが千年単位の歴史を持っているのに対して、
キウイはまだ100年ちょっとしか経っていない。
そして日本に来たのは、さらに新しい1966年です。
今日は、
- キウイはどこから来たのか
- なぜ「キウイ」という名前になったのか
- 日本に広めたのは、実はみかんだったという話
- いまどこで多く作られているのか
- 日本の山にも、キウイの仲間が自生しているという話
まで、果物屋の目線でお伝えします。
キウイの見え方が、少し変わると思いますよ。
それでは、いきましょう!
キウイは、中国生まれです

まず、原産地から。
キウイの故郷は、中国の長江(揚子江)流域です。
野山に自生していたつる性の植物で、
中国では古くから「獼猴桃(びこうとう/ミーホウタオ)」と呼ばれてきました。
「獼猴」はサルのこと。
「サルが好んで食べる桃」という意味なんですね。
日本語でいえば「猿梨(サルナシ)」に近い感覚でしょうか。
名前の付け方が、なんだかかわいいですよね。
そして、この果実は食べるだけのものではありませんでした。
明の時代の薬学書『本草綱目』にも生薬として載っているそうで、
薬として扱われていた歴史もあるんです。
ただし――
当時のものは、今のキウイとはだいぶ違いました。
野生のままなので実は小さく、
果物として栽培されてはいなかったんですね。
あくまで山にある野生の実。
それが世界の果物になるには、海を渡る必要がありました。
1904年、ひとりの校長先生が持ち帰った種

キウイの運命が変わったのは、1904年です。
ニュージーランドのワンガヌイ女子高校の校長、イザベル・フレイザーという人物が、
中国を訪れていました。
彼女は長江を1,600kmほどさかのぼった宜昌(イーチャン)という街の伝道所で、
「ヤンタオ」と呼ばれる果実に出会います。
そして――
その種を、ニュージーランドに持ち帰った。
種は、地元のアレクサンダー・アリソンという人物に託されました。
そして1910年。
アリソンの土地で、ニュージーランド初のキウイが実ります。
種を持ち帰ってから、6年後のことでした。
考えてみると、すごい話だと思うんです。
ひとりの先生が持ち帰った種が、
100年後には世界中のスーパーに並んでいる。
果物の歴史って、こういう偶然でできているんですよね。
「チャイニーズ・グーズベリー」から「キウイフルーツ」へ

さて、ここで名前の話です。
ニュージーランドで実ったこの果実は、
当初「チャイニーズ・グーズベリー」と呼ばれていました。
「中国のスグリ」という意味ですね。
でも、この名前が商売の足を引っぱりました。
理由は2つあります。
① グーズベリー(スグリ)だと誤解される
キウイはスグリの仲間ではありません。
なのにこの名前だと、安い果実だと思われてしまう。
高級果実として扱ってもらえないんですね。
② 「チャイニーズ」が輸出に不利だった
当時の国際情勢の中で、
この名前が輸出の妨げになると判断されました。
そこで1959年。
ニュージーランドの輸出業者が、名前を変えることにします。
一度は「メロネッテ」という案も出たそうですが、
最終的に選ばれたのが――
ニュージーランドの国鳥「キーウィ」にちなんだ「キウイフルーツ」。
茶色くて丸くて、毛が生えている。
確かに、あの鳥に似ています。
そしてこの改名が、大当たりしました。
名前ひとつで、中国原産の果実が「ニュージーランドの果物」になったわけです。
いま僕たちが「キウイ=ニュージーランド」と思っているのは、
この1959年の判断のおかげなんですね。
果物屋として、これはちょっとすごい話だなと思います。
世界の主役になった「ヘイワード」という品種

もうひとつ、外せない人物がいます。
ヘイワード・ライトという育種家です。
彼は1928年、緑色の果肉を持つ品種を生み出しました。
その品種には、彼の名前が付けられます。
「ヘイワード」。
そう、いまスーパーで売られている緑のキウイのほとんどが、この品種です。
1928年に生まれた品種が、100年近く経っても現役。
これ、なかなかないことだと思います。
ヘイワードが選ばれ続けた理由は、こう言われています。
- 味のバランスがいい(甘さと酸味)
- 実が大きい
- 貯蔵性が高い(長く保存できる)
とくに貯蔵性が大きかったのだろうと思います。
キウイは低温にすると追熟が止まるので、
何ヶ月も保存して、少しずつ出荷できる。
これが輸出向きの果物にした決め手でした。
その後の流れも、駆け足で。
| 年 | できごと |
|---|---|
| 1937年 | 商業栽培が始まる |
| 1952年 | イギリスへ初の輸出(13トン) |
| 1959年 | 「キウイフルーツ」に改名 |
| 1988年 | ニュージーランド・キウイフルーツ・マーケティングボード設立 |
| 1997年 | 「ゼスプリ」ブランド誕生 |
| 1999年 | ゴールドキウイを世界へ |
| 2012年 | サンゴールドの販売開始 |
1952年の初輸出が13トン。
いまニュージーランドは年間66万トン以上を生産していますから、
5万倍になった計算ですね。
日本に広めたのは、実は「みかん」でした

では、日本にはいつ来たのか。
1966年(昭和41年)、アメリカから輸入されたのが最初とされています。
ほんの60年前です。
でも、ここからが面白いところで。
日本でキウイが一気に広まった理由は、キウイ自身にはありませんでした。
1970年代、みかんが大暴落したんです。
作りすぎたんですね。
生産過剰で価格が崩れ、みかん農家が立ち行かなくなった。
そこで国は転作を進めます。
「みかん畑を、別の作物に変えてください」と。
そのときに転作作物として選ばれたのが、キウイでした。
理由は納得できるものです。
- 温暖な気候を好む(みかんの産地と条件が同じ)
- 棚を作れば栽培できる(傾斜地でもいける)
- 当時は珍しく、単価が高かった
つまり――
みかん畑が、そのままキウイ畑になった。
いまキウイの産地1位が愛媛県で、2位が福岡県、3位が和歌山県。
見事に、みかんの産地と重なっています。
これ、偶然じゃないんですね。
50年前のみかんの不況が、いまの産地の形を決めた。
うちが取引している和歌山のグリーンジャンクションさんも、
柑橘とキウイを一緒に育てておられます。
産地を歩いていると、歴史がそのまま風景になっているのを感じます。
※【参考】産地と旬については、こちらで詳しくまとめています。
いま、どこで多く作られているのか

現在の生産量を見てみましょう。
FAOの統計(2024年)では、こうなっています。
| 順位 | 国 | 生産量 |
|---|---|---|
| 1位 | 中国 | 2,153,480t |
| 2位 | ニュージーランド | 667,792t |
| 3位 | イタリア | 463,910t |
| 4位 | ギリシャ | 342,330t |
| 5位 | イラン | 294,659t |
| 6位 | チリ | 194,664t |
| 7位 | トルコ | 92,249t |
| 8位 | フランス | 50,760t |
| 9位 | アメリカ | 32,110t |
| 10位 | ポルトガル | 31,320t |
| 12位 | 日本 | 20,656t |
ここで、面白いことに気づきませんか。
1位が、中国なんです。
原産地が、いまも世界一。
ニュージーランドの3倍以上を作っています。
ただし中国産は、ほとんどが国内で消費されていると言われています。
だから僕たちの目に触れるのは、輸出に強いニュージーランド産ばかり。
「作っている国」と「輸出している国」は別なんですね。
そしてイタリアが3位というのも、意外だと思います。
ヨーロッパでもキウイはしっかり根づいているんです。
日本は12位で20,656トン。
世界的には多くありませんが、
これだけの量が国内で作られているというのは、
知っておいて損はないと思います。
実は日本の山にも、キウイの仲間が自生しています

ここで、日本の話をひとつ。
キウイは外国から来た果物――
そう思われがちですが、実は日本にも近い仲間がいます。
サルナシという植物です。
別名コクワ。
山を歩く方なら、聞いたことがあるかもしれません。
- マタタビ科マタタビ属(キウイと同じ仲間)
- 日本の山地に自生するつる植物
- 実の大きさは直径2〜3cm
- 皮に毛がなく、洗ってそのまま丸ごと食べられる
切ると、中身は完全にキウイです。
緑色で、放射状の模様があって、黒い種がある。
最近は「ベビーキウイ」「キウイベリー」という名前で売られることもありますね。
そして、日本の温暖な沿岸部にはシマサルナシという近縁種も自生しています。
・・・実はこのシマサルナシ、
うちが扱っている、ある品種の「親」なんです。
香川県のさぬきキウイっこ。
中国から来たキウイと、日本に昔から自生していたシマサルナシ。
その両方を親に持つ品種が、いま香川で作られている。
歴史がぐるっと一周したような話だと思いませんか。
※【参考】その掛け合わせがどう行われたのかは、こちらにまとめました。
まとめ:まだ100年ちょっとの、若い果物です

今日のお話を、まとめますね。
- キウイの原産地は中国。長江流域に自生していた「獼猴桃」
- 1904年、ニュージーランドの校長イザベル・フレイザーが種を持ち帰った
- 1910年に初結実。当初は「チャイニーズ・グーズベリー」と呼ばれた
- 1959年、輸出戦略のため国鳥にちなんで「キウイフルーツ」に改名
- 1928年に生まれた「ヘイワード」が、いまも世界の主役
- 日本へは1966年。1970年代のみかん大暴落で、転作作物として広まった
- だから産地は愛媛・福岡・和歌山と、みかんの産地に重なる
- 世界一の生産国は、いまも原産地の中国(日本は12位)
- 日本の山にもサルナシという近縁種が自生している
- さぬきキウイっこは、その仲間のシマサルナシを親に持つ品種
キウイって、まだ100年ちょっとの若い果物なんですよね。
千年の歴史を持つ果物が多いなかで、これはかなり珍しいことです。
そして、いまも品種が生まれ続けている。
僕がフルーツ屋をやっていて面白いと思うのは、まさにここなんです。
果物の歴史は、まだ動いている。
10年後には、いま存在しない品種がスーパーに並んでいるかもしれません。
うちのショップでは、香川・深山のキウイさんの香緑・讃緑・さぬきキウイっこと、
和歌山・グリーンジャンクションさんの無農薬キウイ(ヘイワード)を農家直送でお届けしています。
1928年生まれのヘイワードと、2014年生まれのさぬきキウイっこ。
86年ぶんの歴史を、食べ比べてみるのも面白いと思いますよ。
本日は以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
ときわオンラインのヨシハマでした。
それでは〜!
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