9月のフルーツ ぶどう フルーツ紹介

甲斐路とは?スーパーから姿を消した幻の「赤いマスカット」

甲斐路

こんにちは、ときわオンラインのヨシハマです。

突然ですが、皆さんに質問です。

「甲斐路(かいじ)」というぶどう、知っていますか?

「ああ、懐かしい!昔よく食べた!」

そう答えた方は、おそらく40代以上・・・かもしれません(笑)

明るい赤紫色の、美しい粒。
上品なマスカットの香り。

ひと昔前まで、秋のぶどう売り場の主役級だった「赤いマスカット」こと甲斐路

ところが最近、スーパーでほとんど見かけなくなったと思いませんか?

そうなんです。

甲斐路は今、作る農家さんが激減して、市場からどんどん姿を消している「幻のぶどう」になりつつあるんです。

実は、うちのショップでもある事件(後で話します)が起きて、甲斐路の希少さを身をもって実感しました。

今日は、そんな甲斐路について、

  • どうやって生まれたのか(誕生の物語)
  • どんな味なのか
  • 値段はどのくらいか
  • なぜ消えつつあるのか

甲斐路のすべてを、果物屋のヨシハマが語り尽くします。

「懐かしい」という方も、「初めて聞いた」という方も、読み終わる頃にはきっと食べたくなっているはずですよ。

それでは、いきましょう!

甲斐路ってどんなぶどう?ひとことで言うと「赤いマスカット」

甲斐路 赤いマスカット

まず、甲斐路のプロフィールから。

甲斐路をひとことで表すなら、

「赤いマスカット」です。

特徴を並べてみますね。

  • 見た目:黄緑がかった地色に、明るい赤紫が差した美しい果皮
  • 香り:上品なマスカット香
  • 甘さ:糖度は18〜23度と、ぶどうの中でもトップクラス
  • 食感:果肉は締まっていて、コクのある濃厚な甘さ

糖度18〜23度って、すごい数字ですよ。

あのシャインマスカットの糖度がだいたい18〜20度と言われていますから、甘さでは、シャインに勝るとも劣らないんです。

しかも甲斐路は、ヨーロッパ系の血を引く「純粋欧州種」。

マスカットの高貴な香りを受け継いだ、正真正銘の「マスカット一族の赤いお姫様」なんですね。

ちなみに、皮は薄いけれど硬めなので、シャインのように皮ごとではなく、皮をむいて果肉を味わうタイプ

「ぶどうは皮をむいて食べるもの」だった、あの頃の正統派スタイルのぶどうです。

このひと手間が、逆にいいんですよ。

つるんとむけた果肉を口に入れた瞬間の、香りと甘さの広がり。

「ああ、ぶどうを食べてるなあ」という幸福感があります(笑)

名前の由来は「甲斐の国」への路

甲斐路 名前の由来

「甲斐路」という名前、なんだか旅情があっていい名前だと思いませんか?

「甲斐(かい)」は、山梨県の旧国名です。

そう、武田信玄の「甲斐の国」ですね。

その甲斐へと続く路(みち)——

「甲斐路」

山梨生まれのぶどうであることを、名前がそのまま物語っているんです。

ちなみに、中央本線の特急列車にも「かいじ号」がありますよね。

あちらも同じ「甲斐路」由来。

新宿から山梨へ向かう特急と、山梨から全国へ旅立ったぶどう。

どちらも「甲斐への路」を背負った名前なんです。

誕生の物語:県でも国でもなく「町の研究所」が生んだ

甲斐路 植原葡萄研究所

さて、ここからが面白いところです。

甲斐路は、誰が作ったと思いますか?

山梨県の試験場?
国の研究機関?

実は、どちらでもありません。

甲斐路を生み出したのは、山梨にある「植原(うえはら)葡萄研究所」という、民間のぶどう育種研究所なんです。

国でも県でもなく、一つの研究所が情熱を注いで生み出した品種。

かけ合わせは、

フレーム・トーケー × ネオ・マスカット

「フレーム・トーケー」から美しい赤い色を、「ネオ・マスカット」からあの香りを受け継ぎ、

長い育種の末、1977年(昭和52年)に品種登録されました。

昭和50年代といえば、まだ巨峰が高級ぶどうとして広まっていた時代。

そこに登場した「赤くて、マスカットの香りがして、糖度20度超え」のぶどうは、たちまち評判になり、

「元祖・高級ぶどう」として、贈答用の世界で一時代を築いたんです。

ちなみにこの植原葡萄研究所、ぶどう業界では知る人ぞ知る名門で、数々の品種を世に送り出してきた「ぶどう育種のレジェンド」的存在。

甲斐路は、その代表作のひとつなんですね。

産地はどこ?山梨が「全国の8割以上」

甲斐路 産地 山梨

甲斐路の産地の話をしましょう。

現在、甲斐路の栽培面積は全国で約30ヘクタールほど。

・・・この数字、実はかなり少ないです。

比較すると、シャインマスカットの栽培面積は全国で数千ヘクタール規模。

甲斐路は、その100分の1程度しかありません。

そして、その貴重な甲斐路の

8割以上を、山梨県が栽培しています。

栽培面積も出荷量も、山梨がダントツの日本一

次いで新潟・群馬・山形などでも作られていますが、規模はごくわずか。

つまり甲斐路は、

「山梨生まれ・山梨が本場」

の、山梨を象徴するぶどうなんです。

しかも山梨県内でも、作っているのは限られた農家さんだけ。

「山梨の直売所でしか出会えないぶどう」になりつつあるのが現状です。

※【参考】ぶどう産地の全国勢力図はこちら。もちろん1位は山梨です。
【2025年産・最新】ぶどう生産量ランキングTOP5!1位はやっぱりあの県、5位には意外なあの道県!?

値段はどのくらい?「高級ぶどう」の今の相場

甲斐路 値段

「で、甲斐路っていくらするの?」

気になりますよね。

あくまで目安ですが、だいたいこんな相場感です。

  • 1房(500g前後):1,000円台〜
  • 贈答用の化粧箱(1kg・1〜2房):3,000円前後〜
  • 家庭用のまとめ買い(2kg〜):1kgあたり1,500円前後〜

「元祖・高級ぶどう」だけあって、デラウェアや巨峰よりは高めの価格帯。

でも、面白いことに——

今をときめくシャインマスカットと比べると、同等か、むしろ手に取りやすいことも多いんです。

糖度はシャイン級、香りもマスカット。
なのに、知名度で価格が抑えられている。

正直、果物屋の目から見ると

「甲斐路、コスパ良すぎませんか?」

と思ってしまいます(笑)

知る人ぞ知る、というのはこういうことなんですね。

なぜスーパーから消えたのか?甲斐路の「今」

さて、冒頭の疑問に戻りましょう。

あんなに愛された甲斐路が、なぜスーパーから姿を消しつつあるのか。

理由は、大きく2つあります。

理由1:栽培が、とにかく難しい

甲斐路は純粋なヨーロッパ系品種。

ヨーロッパ系のぶどうは雨に弱く、湿気の多い日本で育てるのは至難の業です。

色をきれいに出すのも難しく、手間ひまのかかり方が段違い。

高齢化が進むぶどう農家にとって、作り続けるのが大変な品種なんです。

理由2:シャインマスカットへの世代交代

そして、決定打がこれ。

シャインマスカットの登場です。

皮ごと食べられて、種もなくて、高値で売れる。

農家さんの立場からすれば、難しい甲斐路の木を抜いて、シャインに植え替えるのは自然な流れでした。

こうして甲斐路の畑は年々減り続け、気づけば全国でわずか30ヘクタールに。

時代の主役交代の裏で、静かに消えていこうとしている——

それが、甲斐路の「今」なんです。

うちのショップでも「事件」が起きました

冒頭でお話しした「ある事件」です。

うちのショップでは長年、山梨・南アルプス市の2つの農園から甲斐路を仕入れてきました。

ところが今年、そのうちの一軒隆昇園さんの甲斐路の木が、枯れてしまったんです。

木が枯れたら、もう出荷はできません。

新しく植えても、実がなるまで何年もかかります。
そして、植え替えるならシャインを選ぶ農家さんが大半という時代。

つまり、一度消えた甲斐路は、もうほとんど戻ってこないんです。

「幻のぶどう」という言葉が、決して大げさではないことを、僕は身をもって実感しました。

それでも、甲斐路のファンは熱い

甲斐路 ファン

こんな状況の甲斐路ですが、面白い現象が起きています。

うちのショップで、甲斐路の注文が年々増えているんです。

理由はおそらく、シンプルで。

「他で買えなくなったから」。

昔から甲斐路を愛してきたファンの方々が、スーパーで見つけられなくなり、探して探して、うちにたどり着いてくださる。

「甲斐路、まだ扱ってたんですね!」
「これこれ、この味!懐かしい!」

そんな声をいただくたびに、このぶどうが積み重ねてきた約50年分の信頼を感じます。

流行りのぶどうもいいけれど、半世紀愛され続けてきた味には、それだけの理由があるんですよね。

※【参考】「赤いのにマスカット?」と思った方は、こちらの記事でスッキリします。マスカットの正体は「色」ではなく「香り」なんです。
ぶどうとマスカットの違いって何?「赤いぶどう」はどっちなのか、果物屋が真剣に考えてみた

まとめ:甲斐路のすべて

甲斐路 通販 秋山農園

今日のお話を、まとめますね。

  • 甲斐路は「赤いマスカット」。糖度18〜23度、上品なマスカット香の純粋欧州種
  • 名前の由来は山梨の旧国名「甲斐」への路
  • 山梨の民間育種場「植原葡萄研究所」が生んだ。フレーム・トーケー×ネオ・マスカット、1977年登録
  • 栽培面積は全国約30ha。うち8割以上が山梨=「山梨生まれ・山梨が本場」
  • 値段は1房1,000円台〜、贈答用1kgで3,000円前後が目安
  • 栽培の難しさとシャインへの世代交代で、農家が激減。スーパーから姿を消しつつある
  • 食べるなら「今」。一度消えた甲斐路は、ほとんど戻ってこない

正直に言います。

甲斐路は、この先もっと手に入りにくくなると思います。

だからこそ、「昔食べたあの味をもう一度」という方も、「幻の赤いマスカット、食べてみたい」という方も、

今年の秋、ぜひ味わってみてほしいんです。

うちのショップでは、山梨・南アルプス市の秋山農園さんが大切に守り続けている甲斐路を、9月中旬ごろからお届けします。

隆昇園さんの木が枯れた今、うちで扱える甲斐路は、秋山農園さんのものだけ。

数に限りがありますので、気になる方は早めにチェックしてみてくださいね。

→ 秋山農園の甲斐路はこちらからご覧いただけます

本日は以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
ときわオンラインのヨシハマでした。
それでは〜!

このサイトは、農家直送のフルーツショップ「ときわオンライン」が運営する、フルーツお役立ちサイトです。

ショップでは、安心安全にこだわった農家さんの『無農薬フルーツ』やスーパーに出回ることのない『新品種のフルーツ』など取り揃えています。ご興味があれば見にきて下さい。

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  • この記事を書いた人

ヨシハマ リョウジ

農家直送フルーツショップ「ときわオンライン」店長
スーパーでは手に入らない『無農薬フルーツ』や『地域オリジナル品種』のフルーツを探し求めて、全国の農家さんに会いにいっています。
夏場は石垣島にある「ときわマンゴー園」で農家として収穫作業。
また、「国産バナナを日本の食卓に広めたい!」という夢があり、石垣島で無農薬バナナを育てています。

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