
井上農園さん(福岡・久留米)無農薬いちじくと秋王
こんにちは、ときわオンラインのヨシハマです。
今日は、新しい企画のお知らせから始めさせてください。
このブログ「果物語」では、これまで
フルーツの紹介や、お役立ち情報、品種の歴史など、
フルーツそのものの物語をお伝えしてきました。
でも、あるとき気づいたんです。
「うちの農家さんを紹介する記事が、ほとんどないな」と。
もちろん、ちょこちょこは書いてきました。
和歌山で無農薬栽培をされているグリーンジャンクションの田村さん。
三重県の久居地区で、親子三代にわたって梨を作られている工藤果樹園さん。
でも、農家さんそのものを主役にした記事というのは、
ほとんどなかったんですよね。
うちは農家直送のショップです。
僕が全国を回って、この人の作るものを届けたいと思った農家さんとだけ、
お付き合いをしています。
だったら――
その人たちのことを、ちゃんと伝えるべきだよなと。
ということで、これから
うちと仲良くさせてもらっている農家さんを、ひとつずつ紹介していく企画
を始めようと思います。
その第1回。
福岡県久留米市の井上農園さんです。
なぜ最初に井上農園さんなのか。
理由があります。
この農園さんとの出会いが、うちの「柿」を変えたからなんですよね。
いちじくの取引から始まって、
そこから思わぬ方向に話が転がっていった。
今日は、
- 井上農園さんがどんな農園なのか
- 無農薬でいちじくを育てるということ
- とよみつひめという、福岡だけの品種
- 秋王との出会い(ここが面白いんです)
- 正直にお伝えしたいこと
まで、お話しします。
それでは、いきましょう!
福岡県久留米市の、いちじくと柿の農園です

まず、基本から。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 農園名 | 井上農園 |
| 場所 | 福岡県久留米市 |
| 主な品目 | とよみつひめ(いちじく)、秋王(柿) |
| いちじくの出荷 | 7月下旬〜9月中旬 |
| 秋王の出荷 | 10月下旬〜11月上旬 |
| 冷蔵秋王 | 11月下旬〜1月中旬 |
福岡県の久留米市。
筑後平野の、山と田んぼに囲まれたところです。
いちじくはハウスで、柿は山の斜面の畑で育てられています。
そして――
この農園さんの最大の特徴が、無農薬です。
いちじくを、無農薬で育てています

井上農園さんのとよみつひめは、無農薬です。
これ、簡単に書いていますが、かなり大変なことなんです。
果樹の無農薬栽培というのは、
- 虫がつく
- 病気が出る
- 実が傷む
- 収量が落ちる
このすべてと向き合い続けるということですから。
農薬を使えば防げるものを、あえて使わずにやる。
そこには、はっきりした理由があるはずなんですよね。
いちじくは、皮ごと食べる果物だから
僕が思うに、いちじくだからこそなんだと思います。
いちじくって、皮ごと食べられる果物ですよね。
薄い皮なので、むかずにそのままかじる方も多い。
むしろ皮のあたりに栄養があるので、皮ごとがおすすめなくらいです。
でも――
皮ごと食べるということは、農薬も一緒に口に入るということでもあります。
だから、いちじくにおいて無農薬の意味は大きい。
安心して、丸ごとかじれる。
うちが井上農園さんのとよみつひめを扱っている理由は、ここにあります。
とよみつひめは、福岡だけの品種です

井上農園さんが育てているとよみつひめ。
これも、ちょっと特別ないちじくです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 育成 | 福岡県農業総合試験場 豊前分場 |
| 品種登録 | 2006年 |
| 産地 | 福岡県のみ |
| 糖度 | 17度以上 |
| 特徴 | 完熟してもお尻が割れにくい |
福岡県のオリジナル品種なので、
福岡県以外では栽培されていません。
名前の由来もいいんですよ。
「とよ」=豊前(育成された試験場の場所)
「みつ」=蜜(甘いから)
「豊前で生まれた、蜜のように甘いいちじく」。
そこに「ひめ」をつけて、とよみつひめ。
糖度は17度以上。
メロンが14〜16度くらいですから、メロンより甘いことになります。
つまり、二重に希少なんです
整理すると、こうなります。
① とよみつひめ自体が、福岡でしか作れない
② そのうえ、無農薬で育てている
この2つが重なっている。
ただでさえ手に入りにくい品種を、
さらに難しい無農薬で育てている農家さんは、そう多くありません。
※【参考】とよみつひめについては、こちらで詳しく書いています。
そして、秋王との出会い

ここからが、僕がこの農園さんを最初に紹介したかった理由です。
うちと井上農園さんのお付き合いは、
いちじくの「とよみつひめ」から始まりました。
5〜6年ほど前のことです。
無農薬でとよみつひめを育てている農家さんがいる、と知って、
取り扱わせていただくようになりました。
そして、しばらく経ったある日。
井上さんから、こんな連絡が来たんです。
「実は、秋王という柿も育てていて。めちゃくちゃ美味しいので、一度食べてみてください」
送っていただいて、食べてみたら――
柿の概念が、ぶっ壊れました。
「こんなに甘い柿があるのか」
「これ、本当に柿なの?」
本気でびっくりして、すぐに井上さんに連絡しました。
「ぜひ当ショップで取り扱わせてください!」
これが、うちで秋王を扱うようになったきっかけです。
ひとつの出会いが、次を連れてくる
農家さんとのお付き合いって、こういうことがあるから面白いんですよね。
いちじくを買いに行ったつもりが、柿に出会う。
「実はこんなものも作ってるんですよ」
この一言から始まることが、本当に多いんです。
いま、うちで扱っている秋王は、
とよみつひめがなければ、出会えていなかったわけです。
秋王という柿のこと

せっかくなので、秋王の話も少しだけ。
秋王(あきおう)は、福岡県のオリジナル品種です。
とよみつひめと同じく、福岡でしか作れません。
特徴は、
- 種がほとんどない
- 果汁がたっぷり
- 糖度がめちゃくちゃ高い
- サクサクした食感
親をたどると、太秋柿と富有柿です。
太秋柿のサクサク食感と、富有柿の強い甘み。
その両方を受け継いだのが秋王なんですね。
甘柿同士の交配は染色体の問題でかなり難しいらしく、
福岡県は開発に10年かかったと言われています。
まだ新しい品種で木の本数も少ないので、
うちで確保できる数量も、そう多くありません。
正直にお伝えしておきたいこと

ひとつ、書いておかなければいけないことがあります。
秋王は、無農薬ではありません。
井上さんは、柿も無農薬で育てることに挑戦されています。
でも、柿の無農薬栽培はなかなか難しいそうで、
秋王にはごくわずかに農薬を使用しています。
一般的に見れば「ほとんど使っていない」と言えるレベルですが、
無農薬ではないので、正直にお伝えしておきますね。
そもそも柿は、農薬を使った慣行栽培が基本の果物です。
そのなかで、ここまで農薬を抑えて育てている農家さんは、本当に稀だと思います。
そして――
いちじくのほうは、無農薬でやりきっている。
同じ農園でも、作物によって難易度が違うんですよね。
「できることは、やる」
「できないことは、正直に言う」
この姿勢が、僕は信頼できると思っています。
できないことを隠さない農家さんのほうが、長く付き合えますから。
冬まで続く、井上農園さんのリレー

もうひとつ、井上農園さんの面白いところがあります。
シーズンが長いんです。
| 時期 | 品目 |
|---|---|
| 7月下旬〜9月中旬 | とよみつひめ(いちじく) |
| 10月下旬〜11月上旬 | 秋王(柿) |
| 11月下旬〜1月中旬 | 冷蔵秋王(柿) |
夏にいちじく、秋に柿、冬に冷蔵の柿。
半年以上にわたって、途切れずに何かが届く形になっています。
とくに冷蔵秋王は面白くて、
秋に穫った秋王を冷蔵で貯蔵して、年末年始に出すものです。
お歳暮や年始の贈り物として使いやすいんですよね。
秋王は数が少ないので、
冷蔵のほうは贈答用(2玉・6玉)という形で扱っています。
まとめ:無農薬いちじくから始まった縁

今日のお話を、まとめますね。
- 井上農園さんは、福岡県久留米市の農園
- とよみつひめ(いちじく)と秋王(柿)を育てている
- とよみつひめは無農薬。福岡だけの品種 × 無農薬の二重の希少性
- いちじくは皮ごと食べるから、無農薬の意味が大きい
- うちとのお付き合いは、とよみつひめから始まった
- 井上さんからの「秋王も食べてみてください」が、柿の取り扱いにつながった
- 秋王は福岡オリジナル品種。太秋柿と富有柿の子で、開発に10年かかった
- ただし秋王は無農薬ではない。ごくわずかに農薬を使用している
- 夏のいちじくから冬の冷蔵秋王まで、半年以上リレーが続く
農家さんの紹介記事、第1回は井上農園さんでした。
ひとつの品種との出会いが、次の出会いを連れてくる。
うちのラインナップって、だいたいこうやって増えてきたんですよね。
「この農家さん、いいな」と思ってお付き合いを始めると、
その先にまた何かがある。
そういう積み重ねで、いまのショップができています。
フルーツを選ぶとき、品種や産地で選ぶことが多いと思います。
でも僕は、「誰が作ったか」も、同じくらい大事だと思っているんです。
同じとよみつひめでも、
無農薬でやりきっている人が作ったものは、やっぱり違う。
この企画では、そういうところを伝えていけたらと思っています。
第2回以降も、順番に紹介していきますね。
※【参考】これまでに紹介した農家さんの記事は、こちらです。
→ 農家さんインタビュー:グリーンジャンクションの田村さん(無農薬栽培・和歌山)
→ 【三重・久居の梨】親子三代60年「工藤果樹園」さんに、夏〜秋の梨づくりを聞いてきました
本日は以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
ときわオンラインのヨシハマでした。
それでは〜!
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