フルーツショップ「ときわオンライン」の店長日記。旬のフルーツ、カット方法、保存方法、などフルーツ情報を書いています

果物語(くだものがたり)

西村果樹ガーデンさん(新潟)梨の旬が、ほかより長い理由

こんにちは、ときわオンラインのヨシハマです。

農家さん紹介シリーズ、第3回です。

第1回は福岡の井上農園さん、第2回は山梨の秋山農園さんでした。

今回は、新潟県加茂市の西村果樹ガーデンさんです。

2023年の9月、僕は西村さんに会いに、新潟まで行きました。

大阪から車で、8時間。

5時間くらいまでなら平気なんですが、さすがに8時間はしんどかったです(笑)

それでも行ったのは、電話でお話を聞いているだけで、
「この人のところには、一度行っておかないといけないな」
と思ったからなんですよね。

西村さんのところには、ほかの農家さんにはない特徴があります。

梨の旬が、とにかく長い。

今日は、

  • 西村果樹ガーデンさんがどんな果樹園なのか
  • まわりの農家さんから「旬が長いね」と驚かれる話
  • 畑に黒酢とヨーグルトを入れる、という育て方
  • 僕が丸かじりした豊水の話
  • 梨を2月まで残すという話
  • 「新高が全滅です」という電話のこと
  • お米の話

まで、お話ししていきます。

それでは、いきましょう!


新潟県加茂市の果樹園さんです

まずは基本から。

項目 内容
農園名 西村果樹ガーデン
場所 新潟県加茂市
作っているもの 梨(幸水・豊水・新高・新興)、洋梨(ルレクチェ)、桃、お米(従来コシヒカリ)
育て方 黒酢ミネラル栽培。農薬を減らした特別栽培
今、ときわで扱っているもの 梨(2026年はギフト3kgのみ)
ルレクチェ 11月下旬ごろから

新潟というと、お米のイメージが強いと思います。

でも実は、果物の産地でもあるんですよね。

とくに洋梨のルレクチェは、新潟を代表する果物です。

西村さんは、その新潟で梨・洋梨・桃を育てながら、
お米まで作っている果樹園さんです。


「西村さんのところは、旬が長いねー」

2023年に畑へ伺ったとき、いちばん驚いたのがこの話でした。

西村さんの豊水は、10月まで実っている。

豊水の旬は、一般的には8月下旬から9月中旬くらいです。

長くても9月の下旬まで。

それが、西村さんのところでは10月に入ってもまだ穫れる。

これは、ほかの農家さんからもよく言われるそうです。

「西村さんのところは、旬が長いねー!」

同じ梨を作っている人から見ても、驚くくらい長いんですね。

では、なぜ長いのか。

西村さんに聞いてみたところ、答えはひとことでした。

「黒酢ミネラル栽培だから」


畑に、黒酢とヨーグルト

黒酢ミネラル栽培。

聞き慣れない言葉だと思います。

僕も最初に聞いたときは、正直ピンときませんでした。

簡単に言うと、

黒酢やヨーグルトを肥料に混ぜて、畑に入れる

という育て方です。

西村さんの考え方はこうです。

植物にも、もともと「免疫力」がある。

それを黒酢やヨーグルトで高めてやれば、
農薬を減らしても病気になりにくくなる、と。

「畑にヨーグルト!」

僕はこれを聞いたとき、思わず声が出ました(笑)

ただ、最初からうまくいったわけではなかったそうです。

時期 何があったか
始めたころ 全然うまくいかない。虫に食われる、病気が出る、収穫量が激減する
試行錯誤 黒酢の量と、与えるタイミングを少しずつ調整していく
今 規定の農薬量の50%以下で育てられるようになった

西村さんは、この育て方を20年以上続けているそうです。

収穫量が激減した年があっても、やめなかった。

そうやって続けてきた結果が、今の畑なんですよね。

そして西村さんいわく、黒酢にはもうひとついいことがあるそうです。

黒酢のアミノ酸が、梨の甘さを引き立てる。

ただ甘いだけではなく、コクのある甘さになる、と。

これが本当かどうかは、次の話を読んでもらえたらと思います。


丸かじりした豊水が、ジュースみたいでした

畑でお話を聞いていたら、西村さんが

「食べてみて」

と、豊水を1個渡してくれました。

皮もむかず、そのまま丸かじり。

……びっくりしました。

まず、甘さが強い。

それも、ただ甘いんじゃなくて、独特のコクがあるんです。

噛んだ瞬間に、ほんのり酸味がきて、
そのあとからコクのある甘さが、口いっぱいに広がる。

そして、果汁。

ゴクッと飲めるくらい、果汁があふれてきます。

梨を食べているというより、梨のジュースを飲んでいるような感覚でした。

僕、思わず西村さんに聞いてしまったんですよね。

「これ、本当に豊水ですか?」

と。

豊水は何度も食べてきた品種です。

それでも、別の品種かと思うくらい味が違いました。

※【参考】豊水は「赤梨」の代表的な品種です。梨の種類については、こちらで書いています。

→ 赤梨と青梨の違いは?梨の品種を色で分ける話


新高と新興を、2月まで残す

西村さんの「旬の長さ」は、豊水だけではありません。

今年の9月、あらためて西村さんにお電話して、品種ごとの時期を聞きました。

品種 時期 特徴
幸水 8月上旬〜8月下旬 夏の梨の定番
豊水 9月上旬〜10月上旬 ほかより長く穫れる
新高(にいたか) 10月上旬〜2月上旬 大玉で甘みが強い
新興(しんこう) 10月上旬〜2月上旬 シャキシャキした食感

新高と新興が、2月上旬まで。

梨って、ふつうは秋の果物ですよね。

それを真冬までお届けできるわけです。

しかもここに、西村さんならではの工夫があります。

新高と新興は、ふつうは新高のほうが先に傷んでしまうそうなんです。

だから、新高が先に終わって、新興だけがあとに残る。

ところが西村さんは、試行錯誤のなかで
新高と新興を、同じように長く残せる方法を見つけたんだそうです。

実は今年は、3月まで売れないかという挑戦もしたそうです。

でも3月になると、さすがに身がやわらかくなってしまった。

それで「2月上旬が限界」という判断になった、と。

こういう話を、笑いながら普通にしてくれるんですよね。

「売り物があるうちは、テンションを下げたくない」

とも言っていました。

ルレクチェも、昨季は2月まで

洋梨のルレクチェも同じです。

ルレクチェは、ふつう12月15日前後で出荷がほぼ終わります。

クリスマスには、もうほとんど残っていない果物なんですね。

それが昨シーズンは、常温で2月上旬まで持ったそうです。

これには、取引先の業者さんや、県の農業職員の方も
現物を見て驚いていたと聞きました。

※ただ、農産物なので「毎年必ず2月まで」とは言えません。
西村さんも毎年少しずつ調整しながらやっているので、
あくまで去年の実績として聞いてください。

※【参考】ルレクチェについては、こちらで詳しく書いています。

→ ルレクチェとは?食べ頃の見分け方と食べ方

※【参考】和梨の保存方法についてはこちら。

→ 和梨の保存方法!追熟しないから「待つ」は損です


「新高が全滅です」という電話

ここで、ひとつ忘れられない話をさせてください。

2023年の夏は、記録的な猛暑でした。

ある日、西村さんから電話がかかってきて、一言目がこうでした。

「新高が全滅です……」

一瞬、頭が真っ白になりました。

新高は、暑さに弱い品種なんだそうです。

あまりの暑さで、実が木の上で煮えたようになってしまい、
果肉がぶよぶよになってしまった。

僕以上に、西村さんのほうが真っ白だったと思います。

一年かけて手をかけてきたものが、最後の最後でダメになるわけですから。

そして翌年、2024年の夏。

また暑くなりそうだったので、「今年は大丈夫ですか?」と電話をしたんです。

西村さんは、

「今年もこの暑さだから、新高は影響が出るんじゃないかな」

と言ったあとに、こう続けました。

「そうなったら、まわりからチェーンソーの音が聞こえてくるかもねー」

すかさず、

「なんでやねん!」

とツッコミました(笑)

もちろん冗談です。

でも、まったくの冗談でもないところがあって。

一生懸命手をかけたのに、暑さで全部ダメになる。

その悔しさで、木を切ってしまう人がいてもおかしくない――
そういう空気が、産地にはあるということなんですよね。

それを笑って話せるのが、西村さんという人なんだと思います。


お米は「従来コシヒカリ」

最後に、お米の話を少しだけ。

西村さんは、果物のほかにお米も作っています。

品種は「従来コシヒカリ」。

今、スーパーに並んでいるコシヒカリのほとんどは、
「コシヒカリBL」という、病気に強く改良された品種です。

昭和の後期に新潟でいもち病という稲の病気が広がり、
それに強い品種へと切り替わっていったんですね。

昔ながらの「従来コシヒカリ」は、収穫量でいうと全体の2%ほどと言われています。

それでも、

「粘りが強い」
「冷めても甘い」

という理由で、こだわって作り続ける農家さんがいる。

西村さんも、そのひとりです。

2023年に伺ったとき、西村さんは
「コシヒカリの原種が〜」「栽培方法が〜」
と、こだわりの話がどんどん止まらなくなっていました(笑)

お米も、果物と同じ黒酢ミネラル栽培で育てられています。

※【参考】従来コシヒカリについては、こちらで詳しく書いています。

→ 【新潟の米】従来コシヒカリとは?今のコシヒカリは品種が違う?


まとめ:冬は「充電期間」

長くなりましたが、西村果樹ガーデンさんのお話でした。

ポイント 内容
場所 新潟県加茂市
作っているもの 梨・洋梨(ルレクチェ)・桃・お米
育て方 黒酢ミネラル栽培。黒酢やヨーグルトで植物の免疫力を高め、農薬を規定の50%以下に
いちばんの特徴 旬が長い。まわりの農家さんからも驚かれる
梨の時期 豊水は10月まで、新高・新興は2月上旬まで
人柄 元気。「売り物があるうちは、テンションを下げたくない」

西村さんが、こんなことを言っていました。

「雪が降って、売り物がなくなる冬が、充電期間」

梨を2月まで残して、それが終わったら冬。

雪の中で少し休んで、また春から畑に出る。

「旬が長い」というのは、それだけ長く畑に向き合っているということなんですよね。

今年の新高は、10月上旬から始まります。

気になった方は、一度食べてみてください。

→ 西村果樹ガーデンの梨(ギフト3kg)はこちら

※【参考】これまでに紹介した農家さんの記事は、こちらです。

→ 秋山農園さん(山梨)消えゆく甲斐路と、生まれたての赤いぶどう

→ 井上農園さん(福岡・久留米)無農薬いちじくと秋王

→ 【三重・久居の梨】親子三代60年「工藤果樹園」さんに、夏〜秋の梨づくりを聞いてきました

本日は以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
ときわオンラインのヨシハマでした。
それでは〜!

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