こんにちは、ときわオンラインのヨシハマです。
秋になると、こんな声をよく聞きます。
「いただきものの柿が、渋くて食べられない!」
わかります。
あの、口の中がキュ〜ッと縮こまるような渋み。
一度やられると、しばらく柿を見たくなくなりますよね(笑)
でも、捨てないでください。
渋柿は、正しく渋抜きすれば、甘柿よりも甘くなります。
これ、本当なんです。
というのも、渋柿はもともと糖度が高い品種が多いんですね。
渋という「フタ」が閉まっているせいで、その甘さに気づけないだけなんです。
今日は、
- そもそもなぜ柿は渋いのか
- 渋抜きで何が起きているのか
- 家庭でできる4つの方法と、どれを選ぶべきか
- やりがちな失敗
まで、果物屋の目線でまるっと解説します。
それでは、いきましょう!
そもそも、なぜ柿は渋いのか
渋みの正体は、タンニンです。
正確には「カキタンニン」と呼ばれる成分ですね。
ポイントは、タンニンには2つの状態があるということ。
- 可溶性タンニン(水に溶ける)→ 渋い
- 不溶性タンニン(水に溶けない)→ 渋くない
渋柿は、この可溶性タンニンをたっぷり持っています。
口に入れると、唾液にタンニンが溶け出して、舌の上でタンパク質と結びつく。
あの「キュ〜ッ」は、そのときに起きている現象なんですね。
じゃあ甘柿は?
甘柿は、木の上で育つ間に、自然とタンニンが不溶性に変わっていくタイプなんです。
同じ「柿」でも、タンニンの扱い方が違うだけ。
甘柿が偉くて渋柿がダメ、という話ではないんですね。
渋抜きの正体は「渋が消える」ではありません
ここが、いちばん面白いところです。
多くの方が、渋抜きを
「渋み成分を抜き取る作業」
だと思っています。
でも、違うんです。
渋抜きをしても、タンニンは減りません。
柿の中に、そのまま残っています。
じゃあ何をしているのか。
可溶性タンニンを、不溶性タンニンに変えているんです。
つまり、「水に溶ける状態」から「水に溶けない状態」へ。
唾液に溶け出さなくなるから、渋みを感じなくなる。
抜いているんじゃなくて、溶けなくしているんですね。
どうやって不溶性に変えるのか
カギを握るのは、アセトアルデヒドという物質です。
柿を密閉したり、お湯に沈めたりすると、柿が酸素不足になります。
すると柿は「嫌気呼吸」という非常モードに切り替わって、アセトアルデヒドを作り出す。
このアセトアルデヒドが接着剤のように働いて、タンニン同士をくっつけて大きな分子にしてしまうんです。
大きくなったタンニンは、もう唾液には溶けません。
だから渋くない。
焼酎を使う方法も、お湯につける方法も、干し柿も、やっていることは全部これです。
酸素を断って、アセトアルデヒドを作らせる。
原理が同じだと分かると、どの方法を選んでも納得できますよね。
家庭でできる渋抜き4つの方法
では、実践編です。
家庭でできる代表的な4つを、比較してみました。
| 方法 | 目安の日数 | 手軽さ | 仕上がり |
|---|---|---|---|
| 焼酎(アルコール) | 7〜10日 | ◎ 材料が少ない | ◎ 確実でいちばんおすすめ |
| お湯につける | 1日 | ○ | △ 早いが日持ちしない |
| ドライアイス | 2〜3日 | △ 入手がやや面倒 | ◎ 確実で早い |
| 干し柿にする | 3〜4週間 | ○ 手間はかかる | ◎ 別物のおいしさ |
順番に見ていきますね。
方法1:焼酎(アルコール脱渋)
いちばん確実で、失敗が少ない方法です。
用意するもの。
- アルコール度数35度のホワイトリカー(焼酎)
- ポリ袋
やり方はシンプルです。
- 柿のヘタの部分を、ホワイトリカーに数秒つける
- ヘタを上にしてポリ袋に並べる
- 空気をしっかり抜いて密封する
- 直射日光の当たらない常温の場所に置く
- 7〜10日待つ
これだけです。
ポイントは35度以上を使うこと。
度数が低いと、うまく渋が抜けません。
ちなみに、なぜヘタなのか。
ヘタの周りは果肉に近く、アルコールが実に入っていきやすいからなんですね。
柿の大きさや品種によっては、2〜3週間かかることもあります。
10日で1個だけ味見してみて、まだ渋ければそのまま待つ。
これが確実です。
方法2:お湯につける(湯抜き)
とにかく早く食べたい人向けです。
40℃前後のお湯に柿を沈めて、そのまま20〜24時間置いておく。
たったこれだけで渋が抜けます。
温度がポイントで、アセトアルデヒドがいちばん作られやすいのが40℃前後なんですね。
保温できる容器や、発泡スチロールの箱があると温度が保ちやすいです。
ただし、弱点があります。
湯抜きした柿は、日持ちしません。
数日で柔らかくなってしまうので、抜けたらすぐ食べきる前提で。
「明日みんなで食べる」みたいなときの、緊急手段ですね。
方法3:ドライアイス(炭酸ガス脱渋)
実は、プロが使っているのはこの方法です。
厚手のポリ袋に柿を入れ、新聞紙などで包んだドライアイスを一緒に入れて密封する。
二酸化炭素で袋の中を満たして、酸素を断つわけですね。
2〜3日で抜けます。早くて確実。
ただ、家庭だとドライアイスの入手がちょっと面倒。
あと、ドライアイスは素手で触ると凍傷になるので、必ず軍手を使ってください。
密閉容器に入れると破裂の危険があるので、そこも注意です。
方法4:干し柿にする
そして、日本人が昔からやってきた方法。
皮をむいて、干す。
これも渋抜きなんです。
皮をむくと、柿の表面に薄い膜ができて酸素を通さなくなる。
すると内側で嫌気呼吸が始まって、アセトアルデヒドができる。
結局、原理は焼酎と同じなんですね。
昔の人は化学なんて知らないのに、ちゃんとたどり着いていた。
すごいことだと思いませんか。
※【参考】干し柿の作り方は、こちらの記事で詳しく解説しています。1分でわかるようにまとめました。
→ 【渋柿で簡単に作れる】1分でわかる干し柿の作り方
やりがちな失敗と、注意してほしいこと
「冷凍すれば渋が抜ける」は、当てにしないでください
ネットでよく見かける方法ですが、確実性が低いです。
抜けたという声もあれば、1ヶ月経っても渋いままだったという声もある。
品種や状態によって、結果がバラバラなんですね。
確実に食べたいなら、素直に焼酎法をおすすめします。
なお、甘柿を冷凍するのは大アリです。
こちらは渋抜きではなく、シャーベットとして楽しむ話。
※【参考】柿を凍らせると、とんでもなく美味しいデザートになります。こちらもどうぞ。
→ 柿は冷凍できる?とろける柿シャーベットの作り方
密封が甘いと、まず失敗します
焼酎法で失敗する原因の9割は、空気が入っていることです。
酸素があると嫌気呼吸が起きないので、いつまでたっても渋いまま。
袋の空気は、しっかり押し出してください。
ここだけは丁寧に。
途中で袋を開けすぎない
気になって毎日開けたくなりますが、そのたびに酸素が入ります。
10日目まで、ぐっと我慢。
これがコツです(笑)
傷のある柿は避ける
傷んだ実が1つあると、そこから他の柿まで傷みます。
渋抜きは日数がかかる作業なので、きれいな実を選ぶのが結局いちばん早いです。
プロは「木の上で」渋抜きしています
最後に、ちょっと面白い話を。
うちのショップで扱っている柿に、紀ノ川柿という品種があります。
和歌山のグリーンジャンクションさんが作っている柿なんですが、これがすごいんです。
まだ木になっている段階で、実ひとつひとつに固形アルコールを入れた袋をかぶせる。
そのまま木の上で渋を抜いて、さらに完熟するまで木にならせておくんですね。
一個一個、手作業ですよ。
その結果どうなるか。
普通の柿より果肉が黒っぽくなり、糖度がぐんと上がります。
「黒い斑点があるけど大丈夫?」と聞かれることがありますが、あれは傷みではなく、しっかり渋抜きできて完熟した証拠なんです。
むしろ美味しさの目印ですね。
もうひとつ、新潟・佐渡の吹上農園さんの八珍柿。
こちらも実は渋柿で、産地でちゃんと渋抜きしてから出荷されています。
つまり、あなたがスーパーで買っている「甘い種なし柿」の多くは、もともと渋柿なんですね。
知ると、ちょっと見る目が変わりませんか。
まとめ:迷ったら焼酎法でいきましょう
今日のお話を、まとめますね。
- 渋みの正体は「可溶性タンニン」。渋抜きは、それを不溶性に変える作業
- タンニンは減っていない。溶けなくなるから渋く感じないだけ
- カギはアセトアルデヒド。酸素を断つと柿が自分で作り出す
- いちばん確実なのは焼酎(35度)+密封で7〜10日
- 急ぐなら40℃のお湯に1日。ただし日持ちしない
- 冷凍での渋抜きは当てにしない。結果がバラつく
- 失敗の9割は「密封が甘い」。空気をしっかり抜くこと
渋柿は、扱いを知らないと厄介者。
でも、原理を知ってしまえば、甘柿より甘い果物に化けます。
今年もし渋い柿に出会ったら、がっかりせずに、ぜひ試してみてください。
10日後、びっくりすると思いますよ。
そして、「渋抜きは面倒だけど、甘い柿は食べたい!」という方(笑)
うちのショップでは、農家さんがきっちり仕上げた柿を各種そろえています。
さきほどお話しした紀ノ川柿や八珍柿はもちろん、種なしで食べやすい秋王、サクサク食感の太秋柿、王道の富有柿まで。
どれも農家直送で、いちばん美味しいタイミングで送っています。
※【参考】届いた柿が硬かったときは、追熟でトロトロにできます。あわせてどうぞ。
→ 柿の追熟のやり方!硬い柿を2〜3日でトロトロに
本日は以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
ときわオンラインのヨシハマでした。
それでは〜!
このサイトは、農家直送のフルーツショップ「ときわオンライン」が運営する、フルーツお役立ちサイトです。
ショップでは、安心安全にこだわった農家さんの『無農薬フルーツ』やスーパーに出回ることのない『新品種のフルーツ』など取り揃えています。ご興味があれば見にきて下さい。