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果物語(くだものがたり)

桃栗三年柿八年は本当?果物屋が本気で検証

こんにちは、ときわオンラインのヨシハマです。

「桃栗三年柿八年」

誰でも一度は聞いたことがある言葉ですよね。

意味も、なんとなく分かる。

桃と栗は3年、柿は8年で実がなる。
だから何事も時間がかかるんだよ、と。

・・・でも、ちょっと待ってください。

本当に8年もかかるんでしょうか。

僕は果物屋なので、柿の木は毎年たくさん見ています。

農家さんの畑にも行きます。

そこで働いている木が、全部「植えてから8年待った木」なのか。

考えてみたら、確かめたことがなかったんです。

そこで今回、真面目に調べてみました。

  • このことわざ、そもそもどういう意味なのか
  • 誰が言い出したのか
  • 実は続きがあって、それがけっこう辛口
  • 本当に3年・8年なのか
  • なぜ柿だけ、そんなに遅いのか

調べてみたら、想像以上に面白かったです。

特に、柚子(ゆず)への風当たりの強さには笑いました(笑)

それでは、いきましょう!


そもそも、どういう意味なの?

まずは基本から。

桃栗三年柿八年(ももくりさんねん かきはちねん)

字の通り、桃と栗は芽が出てから3年、柿は8年たてば実がなる、という意味です。

そこから転じて、

「何事も、成し遂げるには相応の年月がかかる」

という教えとして使われます。

種をまいてすぐ実がなるわけじゃない。

だから焦るな、と。

コトバンクなどでは、もう少し現実的な意味も紹介されています。

「資本を投じてから相当の年月を経なければ、それ相応の利益は得られない」

・・・急に生々しくなりましたね(笑)

でも、こっちのほうが実感に近いかもしれません。

果樹農家さんって、まさにこれなんですよ。

苗木を植えて、水をやって、剪定して、何年も何年も世話をして。

その間、1円にもならない。

それでも育てる。

そう考えると、このことわざ、
軽い格言どころかかなり重い言葉です。


誰が言い出したの?──答えは「わかりません」

次に気になるのが、これ。

誰の言葉なんだろう?

孔子とか、松尾芭蕉とか、誰か有名な人が言いそうじゃないですか。

調べました。

結論から言うと――

分かっていません。

作者不明。
いつ生まれたのかも、はっきりしません。

ただ、文献に残っている記録はあります。

確認されている限りでは、江戸時代前期・1674年(延宝2年)の書物にすでに登場しているそうです。

さらに江戸時代には、「尾張(大坂)いろはかるた」の「も」の札として採用されています。

かるたに入っているということは、その時点で子どもでも知っているレベルの常識だったわけです。

つまり、

**誰かが発明した名言ではなく、
農民のあいだで自然に生まれて、
口から口へ伝わっていった言葉。**

これ、僕はすごくいいなと思いました。

畑仕事をしながら、

「桃と栗は3年だなあ」
「柿はまだかなあ、もう8年だぞ」

そんな会話が何百年も繰り返されて、
気づいたら日本中が知っている言葉になっていた。

作者がいないことが、この言葉のすごさなんですね。

※【参考】柿という果物そのものの歴史や種類については、こちらの記事もどうぞ。
柿のおすすめ種類6選!ランキング6でまとめました


実は続きがある。しかも柚子への当たりが強い

さて、ここからが本題です。

このことわざ、続きがあります。

しかも一つじゃなくて、地方によっていろんなバージョンがあるんです。

代表的なものを並べてみますね。

続きの言葉対象ひとこと柚は九年でなりかねる柚子9年でもまだ怪しい梅は酸い酸い十三年梅酸っぱいうえに13年枇杷は九年で登りかねる枇杷木に登れるまで9年柚子の大馬鹿十八年柚子ついに罵倒梨の大馬鹿十八年梨梨も巻き添え

続きの言葉 対象 ひとこと
柚は九年でなりかねる 柚子 9年でもまだ怪しい
梅は酸い酸い十三年 酸っぱいうえに13年
枇杷は九年で登りかねる 枇杷 木に登れるまで9年
柚子の大馬鹿十八年 柚子 ついに罵倒
梨の大馬鹿十八年 梨も巻き添え

・・・柚子。

大馬鹿。

いや、ひどくないですか(笑)

遅いだけで大馬鹿呼ばわりですよ。

しかも柚子は複数のバージョンで名指しされていて、
「九年でなりかねる」から「大馬鹿十八年」まで、どんどん扱いが悪くなっていく。

昔の人、よっぽど柚子を待たされたんでしょうね。

でも、これがこのことわざの魅力だと思うんです。

かしこまった格言じゃなくて、
畑で待ちくたびれた人のぼやきがそのまま残っている。

「柿八年」だって、
たぶん最初は教訓でもなんでもなく、

「柿、遅すぎない?」

っていう愚痴だったんじゃないかと(笑)

ちなみに、さらに愉快なバージョンもあります。

「人の命は五十年、夢の浮世にささので遊べ」

江戸時代の書物にある続きです。

木が実るのを待つ話から、
「どうせ人生五十年、飲んで遊べ」まで飛躍する。

自由すぎる(笑)


本当に3年・8年で実がなるのか?

さあ、いよいよ検証です。

果物屋として、ここは確かめたい。

調べてみて分かったのは、

「条件によってまったく違う」

ということでした。

ポイントは、種から育てるか、苗木を買ってくるかです。

育て方桃・栗柿種から育てる(実生)3年ほど8〜10年接ぎ木の苗木から2〜3年3〜5年

育て方 桃・栗
種から育てる(実生) 3年ほど 8〜10年
接ぎ木の苗木から 2〜3年 3〜5年

見てください。

種から育てた場合の柿が、ちょうど8年前後。

ことわざ、合っているんです。

つまり「桃栗三年柿八年」は、

種をまいて育てた場合の話。

そりゃそうですよね。

昔の人は、苗木をホームセンターで買ってきたりしません。

食べた柿の種を庭にまいて、育つのを待った。

その実感が、そのまま言葉になっている。

数百年前の観察が、いまの農学の数字とちゃんと一致している。

これ、けっこう感動しませんか。

でも、今の農家さんは8年も待ちません

一方で、現代の果樹栽培はほぼ接ぎ木です。

すでに根を張った台木に、育てたい品種の枝を接ぐ。

こうすると、柿でも3〜5年で実がなります。

種から育てると8年かかるのに、なぜ接ぎ木だと早いのか。

理由はシンプルで、

接ぐ枝が「すでに大人の木の枝」だからです。

種から育てた木は、赤ちゃんからのスタート。

でも接ぎ木は、大人の枝を持ってきて根っこにつなぐ。

中身はもう大人なので、すぐ花を咲かせられる。

ずるいと言えばずるいんですが(笑)
人類の知恵ですね。

うちが扱っている農家さんの木も、当然すべて接ぎ木です。

ただし――

接ぎ木で5年目の木と、樹齢30年の木では、実の味がまるで違います。

若い木は、まだ力が足りない。

年を重ねた木のほうが、根が深く張って、甘い実をつけます。

だから結局、

「本当に美味しい柿」には、やっぱり長い年月が必要なんですよ。

ことわざは、形を変えてまだ生きている。


なぜ柿だけ、そんなに遅いのか

ここが一番気になるところですよね。

桃と栗は3年なのに、なぜ柿は8年もかかるのか。

理由は、果樹の「幼若期(ようじゃくき)」の長さの違いです。

木にも子ども時代があります。

この期間は、どれだけ元気に育っても花を咲かせません

体を大きくすることに全力を注いでいる時期なんですね。

人間で言えば、成長期。

そして――

柿は、この子ども時代がとても長い。

桃や栗が数年で大人になるのに対して、柿はゆっくり時間をかけて体をつくります。

理由はいくつか考えられます。

  • 柿は樹が大きく育つ種類の木で、体づくりに時間がかかる
  • 桃は寿命が短めの果樹で、早く実らせて早く世代交代する戦略
  • 栗も比較的早熟なタイプ

つまり、

桃は短距離走、柿はマラソン。

生き方の設計が違うんです。

桃の木の寿命はだいたい15〜20年ほど。

一方、柿の木は手入れ次第で100年以上生き続けます。

100年働く木が、8年の準備期間を使う。

・・・それ、むしろ短くないですか?

人間だって、一人前になるのに20年くらいかかりますからね。

そう考えると柿は、けっこう優秀です(笑)


このことわざ、どんなときに使う?

意味も由来も分かったので、使い方も。

基本は、「時間がかかることを励ます・戒める」場面です。

● 焦っている人を励ますとき

「まだ結果が出ないって? 桃栗三年柿八年だよ。まだ2年目じゃないか」

● 自分に言い聞かせるとき

「桃栗三年柿八年。今は根を張る時期だと思ってやろう」

● 長く続けてきた人を称えるとき

「桃栗三年柿八年と言いますが、10年続けられたのは本当にすごいですよ」

スピーチや挨拶でも使いやすい言葉です。

新人研修や、周年のあいさつなんかにもぴったりですね。

ただし、ひとつ注意点があります。

目上の人に対して教え諭すように使うと、失礼になることがあります。

「桃栗三年柿八年ですよ」と社長に言うと、
説教しているように聞こえかねません。

自分や、後輩・仲間に向けて使うのが安全です。


まとめ:8年待った先にあるもの

今日のお話を、まとめますね。

  • 意味は「何事も成し遂げるには相応の年月がかかる」
  • 作者は不明。江戸時代前期の書物にはすでに登場している
  • いろはかるたの札にもなっていた、庶民の言葉
  • 続きがあり、柚子は「大馬鹿十八年」とまで言われている(笑)
  • 種から育てた場合、柿は本当に8〜10年かかる。ことわざは正確
  • 接ぎ木の苗木なら柿も3〜5年。今の農家さんは8年も待たない
  • 柿が遅いのは「幼若期」が長いから。100年生きる木の準備期間

調べてみて、いちばん心に残ったのはここでした。

このことわざには作者がいない。

誰か偉い人が考えた教訓ではなく、
畑で待ちくたびれた人たちのぼやきが、
何百年もかけて磨かれて、教えになった。

「柿、まだかよ」

その一言が、
数百年後には人を励ます言葉になっている。

なんだか、すごい話だと思いませんか。

そして僕が毎年扱っている柿も、
農家さんが何年も、何十年も育ててきた木の実です。

秋になったら当たり前のように届くあの柿にも、
ちゃんと「八年分」の時間が詰まっている。

そう思うと、一個一個が違って見えてきます。

今年の秋は、そんなことも思い出しながら食べてみてください。

うちのショップでは、農家さんが長年かけて育てた木からとれる柿を各種そろえています。

種なしで食べやすい秋王、木の上で完熟させた紀ノ川柿、サクサク食感の太秋柿、王道の富有柿まで。

どれも、何年もの時間が実になったものです。

農家直送の美味しい柿はこちらからご覧いただけます

 

※【参考】届いた柿が硬かったときは、追熟でトロトロにできますよ。こちらもどうぞ。
柿の追熟のやり方!硬い柿を2〜3日でトロトロに


本日は以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
ときわオンラインのヨシハマでした。
それでは〜!

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